【弁護士が解説】従業員の労働条件を変更する適切な手順
会社の経営状況や、従業員の仕事のパフォーマンスによっては、労働条件を変更する必要が生じる場面もあるでしょう。
しかし、適切な手順を踏まずに労働条件を変更すると、従業員との間で争いが生じるおそれがあります。
本稿では、従業員の労働条件を変更する適切な手順についてご紹介します。
労働条件を変更する方法
労働条件を変更する方法としては、大きく
・合意による労働契約の変更
・労働協約の締結
・就業規則の変更
の3つがあります。
合意による労働契約の変更
労働契約法8条では、「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」と定められています。
労働契約の内容である労働条件を変更するためには、労働者の同意を得ることが必要となります。
なお、労働者の同意の有無について裁判所は厳格に判断しており、その同意が労働者の自由な意思に基づいたものでなければならないとしています。
具体的には、労働者に対し、不利益変更の必要性、不利益の具体的な内容・程度について十分な情報提供と説明を行ったか、また、労働者が当該変更を受け入れた経緯・態様がどのようなものであったかなどに照らして同意の有無が判断されます。
労働協約の締結
労働組合法14条によれば、労働協約とは、労働組合と使用者との間で、労働組合員の労働条件について合意し、それを書面化したものをいいます。
労働条件の変更方法として、変更したい内容の労働条件を労働協約において定めることが考えらえます。
労働協約は、労働組合と使用者相互の同意によって成立するものなので、労働組合の同意が必要となります。
就業規則の変更
就業規則とは、常時10人以上の労働者を使用する使用者に作成が義務付けられている、会社の労働条件、職場規律などを記載したものです。
原則として、労働者との合意なく、就業規則の変更により、既存の労働条件を不利益に変更することはできません。
しかし、例外的に、使用者が、不利益に変更した就業規則を変更後に労働者に周知し、かつ、その内容が合理的である場合には、当該就業規則の変更により、労働者の労働条件を変更することができます。
従業員に対する周知の方法としては、各事業所の見やすい場所に掲示をする、書面で従業員全員に交付する、自社のシステム内に保存しておき、従業員にデータへのアクセス方法を周知する、などの方法が考えられます。
また、就業規則の変更が合理的であるか否かについては、「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況」などを考慮して判断されます。
労働条件の変更に関してご不安な方は、はばたき法律事務所までご相談ください
以上のように、労働条件の変更にはそれぞれ必要な手順があります。
はばたき法律事務所では、労働条件の変更手続き、労働者との合意決に向けたサポートなど、企業法務に関する幅広い対応が可能です。
労働条件の変更を考えている方は、一度当事務所までご相談ください。
事前にご相談いただくことで争いを未然に防止することにつながるかと思います。
BASIC KNOWLEDGE 当事務所が提供する基礎知識
-
フリーランスの報酬未...
フリーランスとして働いていると、クライアントから報酬が支払われないというトラブルに直面することがあります。特に、口頭での依頼やメールだけのやりとりで仕事を請け負った場合には、より不安に思う方も多いでしょう。この記事では、 […]

-
コンプライアンス法務...
「世間ではコンプライアンスの重要性が声高に叫ばれているが、具体的にはいったい何から手をつけていけばよいのか分からず困っている。」「社内では一通りのコンプライアンス研修を行っているが、社員の間に十分に意識として根付いている […]

-
従業員の能力不足を理...
従業員の能力不足を理由に退職勧奨を行うことは、一見して合理的な判断のように思えます。もっとも、場合によっては退職勧奨が違法になってしまい、さらに慰謝料を払わなければならなくなることもあるため、そのやり方には注意が必要です […]

-
Webサイトの写真や...
パソコンの普及に従って、ウェブサイトの閲覧は日常のことになりました。それにつれて、サイトの写真や文章の無断転載も一つの問題になっています。科学技術の発展とともに、非常に長い文章だとしても、マウスの2,3回の操作で転載する […]

-
商標権
【商標権】商標権は商標の独占的な使用を認めることで、商標に担保された商標使用者の信用を保護する制度です。 【商標登録の条件】このような制度の趣旨から、商標は誰でも登録できるわけではなく特定の役務(業種)で営業す […]

-
回路配置利用権
知的財産権に含まれる権利の中に回路配置利用権という権利が存在します。回路配置利用権は半導体集積回路配置法という法律で保護されています。コンピューターの発達が進んだ現代において、独自に開発した半導体集積回路配置が複製されて […]

KEYWORD よく検索されるキーワード
-
エリアに関するキーワード
- 顧問弁護士 弁護士 相談 高崎市
- 企業法務 弁護士 相談 高崎市
- 意匠権 弁護士 相談 伊勢崎市
- 意匠権 弁護士 相談 太田市
- 特許権 弁護士 相談 太田市
- 特許権 弁護士 相談 安中市
- 意匠権 弁護士 相談 高崎市
- 商標権 弁護士 相談 高崎市
- 法律問題 弁護士相談 太田市
- 知的財産権 弁護士 相談 群馬
- 法律問題 弁護士相談 安中市
- 顧問弁護士 弁護士 相談 前橋市
- 意匠権 弁護士 相談 群馬
- 著作権 弁護士 相談 太田市
- 顧問弁護士 弁護士 相談 伊勢崎市
- 企業法務 弁護士 相談 群馬
- 顧問弁護士 弁護士 相談 群馬
- 労働問題 弁護士 相談 安中市
- 債権回収 弁護士 相談 安中市
- 労働問題 弁護士 相談 伊勢崎市
LAWYER 弁護士紹介
弁護士羽鳥 正靖(はとり まさやす)
地元群馬の皆様の躍進と安心のために
知財分野に限らず、企業法務全般及び一般民事分野に精通した弁護士として皆様に貢献することをお約束します。
-
- 経歴
-
2006年 3月 群馬県立前橋高等学校卒業
2006年 4月 一橋大学法学部入学
2011年 3月 一橋大学法学部卒業
2011年 4月 立教大学大学院法務研究科入学
2013年 3月 立教大学大学院法務研究科卒業
-
- 所属団体
-
- 群馬弁護士会
OFFICE 事務所概要
| 名称 | はばたき法律事務所 |
|---|---|
| 代表者 | 羽鳥 正靖(はとり まさやす) |
| 所在地 | 〒371-0055 群馬県前橋市北代田町174-43 2階 |
| 連絡先 | TEL:027-289-4172 / FAX:027-289-4174 |
| 対応時間 | 平日 9:00~18:00(事前予約で時間外も対応可能) |
| 定休日 | 土・日・祝(事前予約で休日も対応可能) |