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退職勧奨とは?会社から退職を促された場合の適切な対応について

雇用主と従業員との間の労働契約関係は、契約期間の満了のほか、一方当事者からの契約終了の意思表示によって終了することがあります。
そして、従業員からの労働契約終了(退職)の意思表示のなかには、使用者から退職を促されたものがあります。従業員の意思との合致によるものとはいえ、退職の勧奨による退職の意思表示は有効なのでしょうか。
このページでは、会社から退職を促された場合の適切な対応についてご紹介します。

 

■退職勧奨とは
退職勧奨とは、使用者の側が従業員の退職を促して、従業員との合意による労働契約の終了をさせることをいいます。

あくまでも従業員の意思に基づく退職であれば、何ら違法なものではなく、合意による退職となります。

もっとも、執拗に退職勧奨を行ったり、心理的圧力を加えていたような場合など、事実上強制力が働いていた場合、不法行為とみなされ、損害賠償請求が認められる場合があります。

 

■解雇との違い
解雇は使用者の一方的な意思表示によって行うのに対して、退職勧奨によって行われた退職は合意による退職という点に違いがあります。

解雇、すなわち、使用者からの一方的な労働契約の終了が有効とされるためには、労働契約法上「客観的に合理的な理由」や「社会通念上の相当性」が必要となります。また、解雇予告手当等の労働者保護の法制が整備されています。

合意による労働契約終了は、解雇と異なり労働契約法上の上記要件が要求されないため、退職勧奨は会社に有利な行為として使われています。「肩たたき」と呼ばれることもあります。

 

■退職勧奨されたときの対応
退職勧奨されたらどのように対応すればよいのでしょうか。会社を辞める気があるのか、会社に残りたいのかによって対応は異なります。

 

・退職したくない場合
退職したくない場合には、その旨伝えることが必要です。

退職勧奨による退職はあくまでも従業員の意思があってのものなので、会社に強制されるものではありません。

退職の意思表示をしていないのに退職させられるのは、一方的な労働契約の終了として、解雇にあたります。労働者は、労働法上手厚く保護されており、解雇自体が無効とされ、解雇期間中の賃金の支払いや、損害賠償請求が認められることがあります。

また、執拗に退職勧奨が行われ、辞めたくないにもかかわらず、半ば強制的に退職の意思表示をさせられたような場合、不当な退職勧奨として、不法行為に基づく損害賠償請求の対象になり得ます。

後に訴訟になり得ることを考慮して、退職勧奨の様子を客観的証拠として保管しておくことは重要です。形の残る書面によるような場合はその書面の保管、会話であればボイスレコーダーなどが考えられます。メールを削除しないことも重要といえるでしょう。

 

・退職してもかまわない場合
労働契約の終了自体に異議がないのであれば、労働契約の終了を前提に、使用者と交渉をして、退職の条件を高いものにできるよう対応する必要があります。

特に重要なのは、退職金の支払いとその額です。

退職金を支払うこと、そして、その金額が会社の前例等をもとに検討して妥当な水準であるように交渉することが重要です。

また、退職が会社都合退職なのか、自己都合退職なのかによって失業保険の給付日数や国民保険の保険料が異なります。会社都合退職のほうが給付の額も高く、また、給付までの日数(給付の最短開始日)も早いため、従業員としては会社都合退職となったほうが利益となります。

そのため、交渉の際には、会社都合退職として処理してくれるのかどうかもポイントとなります。

 

以上のように、退職勧奨をされたら直ちに結論を出さずに、よく考えて発言をする必要がある場合があります。

どのように対応すればいいか分からないような場合、焦らず専門家に相談をしたうえで退職勧奨に対応をすることが求められます。

 

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羽鳥弁護士

弁護士羽鳥 正靖(はとり まさやす)

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知財分野に限らず、企業法務全般及び一般民事分野に精通した弁護士として皆様に貢献することをお約束します。

  • 経歴

    2006年 3月 群馬県立前橋高等学校卒業

    2006年 4月 一橋大学法学部入学

    2011年 3月 一橋大学法学部卒業

    2011年 4月 立教大学大学院法務研究科入学

    2013年 3月 立教大学大学院法務研究科卒業

  • 所属団体
    • 群馬弁護士会

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