退職する社員から有休買い取りの希望があった場合はどうする?
有給休暇とは、雇用から6か月以上の継続勤務と全労働日の8割以上の勤務という条件を満たせば、その雇用から6か月後をはじめとして、一年おきに発生する、給料の支払いが約束された休暇のことをいいます。
有給休暇は法律上当然に発生し、その発生に使用者の許可はいりません。
労働者の生活を保護するために労働基準法が認めたもので、原則として、自分が欲しいタイミングで休暇を得ることができます。
もっとも、有給休暇を使用せずに、有給休暇を使用した場合にもらえる賃金に見合った賃金の支払いを求めることを、有給休暇買取といいます。
では、有給休暇買取はそもそも有効なのでしょうか。
退職する社員から有給休暇の買い取りの希望があった場合等の対応をご紹介します。
有給休暇買取の有効性
有給休暇とは、労働者保護のための制度であるため有給休暇の買取は原則として違法となります。
もっとも、上記有給休暇の趣旨からして、退職する社員が有給休暇の買い取りを請求して、買い取ることは有効とされています。
退職日を伸ばして有給休暇を使用して、有給休暇期間の満了と同時に退職するという方法も多くみられます。
有給休暇の買い取りを請求された場合の対処法
退職社員から有給休暇の買い取りを求められた場合、会社としては必ずしもこれに従う必要はありません。
すなわち、会社にこれを買い取る義務は生じません。
もっとも、退職労働者が、有給休暇を用いて退職までを伸ばした場合とほぼ同様の金額を支払うのであれば、トラブルを避けるためにも、これに従うことも考えられます。
また、労働期間が延びるとその分折半して支払っている社会保険料の負担が増えるため、早期に労働期間を終了させることにはメリットがあります。
労働者からしても、税制からメリットが大きいため、これを希望する場合は多いといえます。
すなわち、有給休暇買取によって労働者に支払われるお金は、賞与として扱われ、これは退職所得にあたるため、40万円を超えない分については課税対象となりません。
有給休暇をいくらで買い取るのかについては、事前に決めておくことが望ましいです。
算出方法は、平均賃金(過去三か月間に支払った賃金をその期間の日数で割って計算したもの)、通常賃金(月給額を所定労働の日数で割った者、自給額に所定労働時間をかけたもの、日数であればそのまま計算)、標準報酬月額(健康保険や厚生年金の保険料額を決める際に用いる額)などがあります。
まとめ
有給休暇の買い取りは上述のように原則としては違法となります。
そのため、これを行う際には例外的に有給休暇の買取が違法とされない場合にあたるのかどうか適切に判断する必要があります。
また、有給休暇をいくらで買い取るのかについてもあらかじめ決めておいたルールにしたがって決めたほうがスムーズとなります。
いずれにせよ、専門家である弁護士に相談することで、適法かつ適切な対応を採ることが可能となります。
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LAWYER 弁護士紹介

弁護士羽鳥 正靖(はとり まさやす)
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- 経歴
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2006年 3月 群馬県立前橋高等学校卒業
2006年 4月 一橋大学法学部入学
2011年 3月 一橋大学法学部卒業
2011年 4月 立教大学大学院法務研究科入学
2013年 3月 立教大学大学院法務研究科卒業
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