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従業員解雇する際の正当な理由・条件とは

従業員の解雇に触れる前に、解雇の類型について少しご説明しましょう。類型が違うと、解雇を満たす条件と理由も違うとされています。

解雇は主に、普通解雇、懲戒解雇、整理解雇といった三つの類型があります。

 

普通解雇については、労働基準法16条に従わなければなりません。労働基準法16条により、「客観的に合理的な理由」がなく、社会通念上、相当と思われない場合の解雇は無効になります。つまり、普通解雇に関する正当な事由は、客観的合理的な理由です。

 

では、具体的に、客観的合理的な理由とはどのような理由であるかという問題があります。

この問題を知るためには、判例を参考にしなければなりませんが、普通解雇に関する判例はたいへん多く、すべてあげるのは不可能です。三井倉庫事件(東京地裁平13.7.2)を挙げてみましょう。この事件の判例では、普通解雇の正当な事由について、ミスを繰り返して、訂正させたとしても、なかなか直らないこと、そのようなミスの連続により、会社に重大な損害を発生させること、そのような従業員の存在により、職場の全体の意欲の低下を招く恐れがあることなどあります。つまり、繰り返して指導したにもかかわらず、改善の見込みがない場合に、客観的合理的な理由になるとされています。

 

懲戒解雇については、解雇の予告をせずに、即日解雇の可能性もあり得ます。そのため、懲戒解雇になる正当な事由は通常、比較的重い事由でなければなりません。たとえば、西日本鉄道事件(福岡地裁9.2.5)によると、バス運転手はバスガイドに対して、ガイドの意に反して、わいせつ行為をした場合に、バス運転手のわいせつ行為は懲戒解雇の正当な事由になります。バス運転手を直ちに解雇するとしても、解雇権の濫用になりません。また、わいせつ行為だけでなく、経歴詐称なども懲戒解雇の正当な理由になります。雇用契約は雇用者と労働者の信頼関係に基づいてできたものであり、経歴詐称により、雇用者と労働者の間の信頼関係が崩れるだけでなく、労働者を適切に配置できなくなり、企業の秩序も乱す恐れがあります。

 

整理解雇をするためには、人員削減の必要性、解雇回避の努力、人選の合理性、解雇手続の妥当性という四つの条件を満たす必要があります。整理解雇を有効的に成立させるためには、この四つの要件をすべて満たす必要がありますが、たとえば、人選の合理性については、どのような人選が合理的だと言えるかという問題があります。東京都土木建築健康保険組合事件(東京地裁平14.10.7)によれば、勤務評定が最も低い評価を受けた原告を解雇することは、妥当な選択だと判断されています。解雇回避の努力については、東洋印刷事件(東京地裁14.9.30)。によれば、解雇された人達は、営業職として働きたいという意思を表明したにもかかわらず、営業職への配転をまったく検討しなかったことが、解雇回避の努力不足だと判断されました。

 

はばたき法律事務所は前橋市にお住まいの皆様からのご相談を承っております。
従業員の解雇が有効となるかどうかについては、雇用契約の期間、ミスの様態、解雇動機など様々な条件に左右されるものです。

解雇問題に悩んでいる方は、一度当事務所にご相談ください。

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弁護士羽鳥 正靖(はとり まさやす)

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  • 経歴

    2006年 3月 群馬県立前橋高等学校卒業

    2006年 4月 一橋大学法学部入学

    2011年 3月 一橋大学法学部卒業

    2011年 4月 立教大学大学院法務研究科入学

    2013年 3月 立教大学大学院法務研究科卒業

  • 所属団体
    • 群馬弁護士会

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